こんにちは。 24/01/07より、「熾火」(01)より順次noteに掲載してまいります。基本的には、毎日一回分を公開していく予定です。また、価格を設定してありますので、ご支援・応援をしていただけます方は、クリックの上で手続きを進めてくださいますと幸いで…
創作「熾火」 1998年10月(2) 正直なところ、昌行は月にいくらを返済をしているのか、そのためにどれくらいの売上げが必要であるのかを、昌行は知らずに過ごしていた。より正確には、知ろうとしてはなかったというべきであろう。この日昌行が用立てた10万円…
創作「熾火」 1998年10月(1) まだ夜も明け切っていない頃、疲れの取れない身体を持て余していた昌行は、このまま起きてしまおうかと考えていた。すると、部屋のドアを誰かが叩いたような気がした。その音の主は、父の義和だった。 「明日までに今月分の返…
こんにちは。 一旦5月3日(金)付けで「完結」を見た創作シリーズ「熾火」ですが、今日以降については、販売をめざしてファイル形式と文章を整えていこうと思います。何でも、PDF化されたファイルを経由して、紙の本と電子書籍との両方を発行できるサービス…
2024年――。還暦を迎えたこの年の、この日5月3日。不意に思い立って起筆した小説「の・ようなもの」を、一年ほどを経て、完結させることができました。私は毎年、この5月3日をある感慨をもって迎えているのですが、その意義ある日に完結をみたことに、不思議…
「ぼくがね、」 昌行は雅実に対して、自身がなぜ小説という表現形態を選んだのかについて語り始めた。 「その頃はまだ小説という形を意識してはいなかったんだ。ただ、両親のことを何等かの形で書き残す必要があると思ったんだよ。つまりね――」 父・義和は、…
2023年6月――。昌行の携帯電話に、弟・滋からのメッセージが入っていた。おばの田中美津子死去に伴う遺産の分配の件が、概ね片づきそうだとあった。この件を通して昌行は、祖母の光江からの谷中家三代に及んだ確執と齟齬の一端を垣間見ていた。光江は、二人目…