熾火
創作「熾火」 1998年10月(2) 正直なところ、昌行は月にいくらを返済をしているのか、そのためにどれくらいの売上げが必要であるのかを、昌行は知らずに過ごしていた。より正確には、知ろうとしてはなかったというべきであろう。この日昌行が用立てた10万円…
創作「熾火」 1998年10月(1) まだ夜も明け切っていない頃、疲れの取れない身体を持て余していた昌行は、このまま起きてしまおうかと考えていた。すると、部屋のドアを誰かが叩いたような気がした。その音の主は、父の義和だった。 「明日までに今月分の返…
こんにちは。連続創作「熾火」は、おかげさまで「第一部」を完結させることができました。いただいたご支援に深く感謝いたします。ありがとうございました。 この記事では(11)から(16)と「あとがき」をまとめた「統合版」として作成いたしました。また、…
こんにちは。連続創作「熾火」は、「第一部」として一旦完了いたしました。ここに「あとがき」をお届けします。 * * * 自分の父と母たちを「物語」として書き留めていきたい。それは、自分の権利のようなものであるばかりか、その「使命」さえも自分は有…
こんにちは。連続創作「熾火」の(16)をお届けいたします。とうとう昌行の父・義和は逝きました。そして、葬儀の日となり・・・。 * * * 最終話 斎場には主として親戚筋の者たちが集まっていたが、それ以外の弔問者には、控え室が用意できない事情を話し…
こんにちは。連続創作「熾火」(15)をお届けいたします。病院に集められた家族たちは、朝7時に開いた集中治療室で義和に対面することになりました。 * * * 2007年8月(2) 「ぼくたち家族は、朝7時に開いた集中治療室への入室が許され、父・義和と対面す…
こんにちは。連続創作「熾火」の(14)をお届けします。前回まででは、義和の入院中の様子も書いてみたところです。果たして・・・? * * * 2007年8月(1) 心臓疾患の手術のために入院した谷中義和を、妻の峰子は頻繁に見舞っていた。2007年8月4日には、…
こんにちは。連続創作「熾火」の(13)をお届けします。祖母の光江が死去した翌年、今度は父の義和が入院してしまいます。 * * * 2007年7月 2007年7月、谷中義和は転院して心臓の手術を待っていた。 「昨日、病室の窓から花火が見えてねえ」 足繁く義和を…
こんにちは。連続創作「熾火」の(12)をお届けします。前回で、谷中家は4人が2所帯に分かれて生活保護を受給する生活に移りました。 (23/08/23) * * * 2007年4月 谷中家の人びとが、ベーカリーを営んでいた区内で転居した上で、生活保護を受給する生活…
こんにちは。今日は作業がはかどります。連続創作「熾火」(おきび)、(11)をお届けします。 前回、昌行の祖母・光江が死去しました。母・峰子が気忙しく立ち振る舞っていたことが、昌行にはとりわけ印象的でした。また、ベーカリーの経営は好転せず、谷中…
こんにちは。 当ブログで連続創作として発表している「熾火」が、10回に達しました。今までありがとうございました。ついては、閲覧の便を図るために、(01)から(10)を1記事としてまとめた「統合版」として、本記事を作成いたしました。ご覧くださいます…
こんにちは。創作「熾火」(おきび)も、いよいよ10回目となりました。さまざまな応援をいただき、ありがとうございます。今後とも、ぜひよろしくお願いいたします。 前回では、谷中家はベーカリーが経営不振であったことだけではなく、さまざまな「軋み」を…
こんにちは。創作「熾火」(おきび)09をお届けします。再度の復職に際して命じられた異動のストレスが引き金となって、昌行は心身の調子を再び崩します。そして、遂には退職に至りました。 * * * 2004年2月 谷中家にあって、昌行は三男一女の長男であっ…
こんにちは。創作「熾火」(おきび)の(08)をお届けします。 2002年4月からの産業カウンセラー講習の途中で、昌行は学部時代の後輩だった雅実と再会します。そして、冬に資格試験が実施されました。 (23/08/19) * * * 2003年2月 明けて2003年、2月に…
こんにちは。創作「熾火」(おきび)の(07)を書いてみました。 【前回まで】谷中昌行は、うつ病を発症してしまいましたが、休職中に受講していた初級産業カウンセラーの養成講座で、大学の後輩だった千々和雅実と再会します。 * * * 2002年12月 自身が…
こんにちは。創作「熾火(おきび)」(06)をお届けします。 前回までで、昌行はうつ状態を発症してしまいます。復職を焦ってあがいているところまでを書いています。 * * * 2002年6月 2002年4月から、昌行は再度の休職期間にあった。この年、昌行は社内…
こんにちは。創作「熾火(おきび)」の(05)をお届けいたします。 【前回まで】不本意な異動と、異動先での超過勤務、実家の経営不振等で、昌行は徐々に疲弊していきます。 * * * 2001年6月 2001年となり、世紀をまたいだことになるが、昌行の置かれてい…
こんにちは。創作「熾火」の(04)を書きました。ご覧ください。 【前回まで】出社した昌行は、所属する部署の閉鎖と異動を言い渡されます。閉鎖するなら、自分の手で幕を引きたいと考えた昌行でしたが・・・。 * * * 1999年8月 定例の部門間会議のため、…
こんにちは。「創作」の第3回めをお届けします。 【前回まで】今月の返済資金を一部工面するため、昌行は出社時刻をずらしましたが、上司たちから告げられたのは、一年後の部署の閉鎖と異動についてでした。 なお、(02)の最後に「重要人物」の登場と書きま…
こんにちは。 創作「熾火」(02)をお届けします。 明け方、父・義和に返済資金の一部を用立ててほしいと頼まれた昌行は、銀行を開くのを待ってから出社することにしました。出社した昌行は、上司に声をかけられます。 * * * 1998年10月(2) 正直なとこ…
こんにちは。 しばらく日を置いてしまいましたが、「構想」(空想?)は練っています。先に触れている通り、全体としては少なくとも3パート程度にはなりそうなこの創作、仮題を「熾火(おきび)」といたしました。稿によっては、話者が変わることが出てきそ…