創作シリーズ「熾火」

敗れざる者の胸奥に灯る《いのち》の灯り――。

熾火Ⅲ

創作「熾火Ⅲ」あとがき

こんにちは。23/07/13にこのブログを立ち上げて、創作「のようなもの」に取り組み出してから約3か月となりました。最初は中編くらいの長さのものを徐々に書き増していく予定でした。ところが、何のひらめきかはわかりませんが、1回1000文字程度のものを、新…

創作「熾火Ⅲ」エピローグ

こんにちは。今回で「熾火Ⅲ」はエピローグのお届けをして、残りは「あとがき」ということになります。今までお読みくださいまして、ありがとうございました。 ◇ ◇ ◇ 「吉岡さん、ぼくね、今度主治医が代わることになったんですよ。それでね」 昌行が「しずく…

創作「熾火Ⅲ」(11)

こんにちは。連続創作「熾火Ⅲ」の(11)をお届けいたします。斉木和正の母・美代子と昌行は、不意に出会うこととなりましたが・・・。 ◇ ◇ ◇ 「すてきな演奏でしたね。今日は昌行さんとお会いできてよかったわ」 所与の目的を一つ果たし終えた美代子は、満足…

創作「熾火Ⅲ」(10)

こんにちは。連続創作「熾火Ⅲ」の(10)をお届けいたします。今回は、新しい登場人物が現れます。 ◇ ◇ ◇ 「雅実さん、よかったら私のこと、お義母さんて呼んでくださいな。その方がうれしいわ」 スカイツリーの見学を口実にして上京するという、雅実と離縁し…

創作「熾火Ⅲ」(09)

こんにちは。連続創作「熾火Ⅲ」の(09)をお届けいたします。今回は読書会についても継続して扱っています。 ◇ ◇ ◇ 初回の読書会で、『ゲド戦記』第1部『影との戦い』を取り上げて好評を博したことに気をよくした昌行は、次の2013年2月の回では、岩波ジュニ…

創作「熾火Ⅲ」(08)

こんにちは。連続創作「熾火Ⅲ」の(08)をお届けいたします。対面でだけでなく、オンラインでも読書会を開催したいと昌行が主張します。いよいよその読書会が始まりました。 ◇ ◇ ◇ 昌行は、対面での読書会の実施と並行して、オンラインでも開催したいと発案…

創作「熾火Ⅲ」(07)

こんにちは。連続創作「熾火Ⅲ」の(07)をお届けいたします。震災後、躁と鬱の波に襲われた昌行ですが、復調して「読書会」がしたいと申し出をしています。 ◇ ◇ ◇ 読書会を始めたいという昌行の発案は、さしあたっては「しずく」とは独立した形で実施すると…

創作「熾火Ⅲ」(06)

こんにちは。連続創作「熾火Ⅲ」の(06)をお届けいたします。震災後の昌行と、当事者会「しずく」について、もう少し書き進めていきます。 ◇ ◇ ◇ 《ミューズ》こと、須藤めぐみが「しずく」に参加して、2か月が過ぎた。今は盛夏である。昌行は、なおも地域生…

創作「熾火Ⅲ」(05)

こんにちは。連続創作「熾火Ⅲ」の(05)をお届けいたします。自分の誕生日と震災の日とが重なって、昌行は一時体調不良を訴えるようになりました。一方、当事者会の「しずく」は活動を継続していました。 ◇ ◇ ◇ 「震災から3か月経ちましたが、いろんな問題を…

創作「熾火Ⅲ」(04)

こんにちは。連続創作「熾火Ⅲ」の(04)をお届けいたします。今さらではありますが、作中の人物や設定は、全て架空のものであって、実在するものとは一切関係ありません。どうぞお含みおきください。 ◇ ◇ ◇ 順調に見えていた昌行の地域生活支援センターへの…

創作「熾火Ⅲ」(03)

こんにちは。連続創作「熾火Ⅲ」の(03)をお届けします。雅実たちは昌行の部屋で誕生日を祝います。しかし――。 ◇ ◇ ◇ グラスが倒れて飲み物がこぼれた。書架の上から空の段ボールが落ち、ガスも止まってしまった。東京でこんな揺れがあったという記憶は、昌…

創作「熾火Ⅲ」(02)

こんにちは。連続創作「熾火Ⅲ」の(02)をお届けいたします。昌行の誕生日である3月11日、雅実は昌行の部屋を訪ねることになりました。しかし――。 ◇ ◇ ◇ 「今日はどんなプログラムだったの」 「アンガー・マネジメントの初歩について。怒りを抑えることが、…

創作「熾火Ⅲ」(01)

今回から、連続創作「熾火Ⅲ」本編をお届けできることとなりました。本当にありがとうございます。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ◇ ◇ ◇ 2011年2月、千々和雅実は新卒時の勤務先での上司・高木陽子の娘・美恵子の結婚式に出席するため、長崎に…

創作「熾火Ⅲ」プロローグ

こんにちは。連続創作「熾火」シリーズは、いよいよ完結編として予定している「熾火Ⅲ」に入りました。うつ病を患い、福祉のサポートを受けている谷中昌行に、千々和雅実という理解者が現れます。2人は協力して「当事者会」の設立に動きました。 ◇ ◇ ◇ 2010年…